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細菌検査について

細菌検査室

細菌検査について

私たちの身近には多くの細菌 (バクテリア) が生息しており、ヒトの体にも多くの細菌が存在しています。
その細菌はヒトに対して病原性のない菌 (常在菌) と、病原性を示す菌 (病原菌) に分かれます。
発熱や咳、下痢などの感染症を疑う症状が現れた際に、その原因が細菌なのか、細菌であれば、どのような薬 (抗菌薬) が効くか、を検査することが細菌検査の目的です。
そのため細菌検査では、患者様から様々な材料 (尿、喀痰、血液、便など) を採取させていただき、検査に用います。
また、各種の耐性菌 (本来効くはずの抗菌薬が効かなくなった細菌) を検出し、一部の病棟で偏りがないかなど、院内での感染制御に役立つ情報を提供することも大切な業務の一つです。

人員構成

臨床検査技師 5名
感染制御認定臨床微生物検査技師(ICMT) 1名
認定臨床微生物検査技師 2名
二級臨床検査士(微生物学) 5名

業務内容

※2021年検査実績
①一般細菌検査 約12,000件
②抗酸菌検査 約500件
③迅速検査 約10,000件

①一般細菌検査

塗抹検査

患者様から採取した検査材料を染色し、顕微鏡で観察します。
細菌や炎症の有無、感染症の原因菌の推定などを迅速に検査することができます。

グラム染色像
ピンク(赤)色に染まっている桿状の菌をグラム陰性桿菌といい、太く短いため腸内細菌と考えられます
紫色に染まっている球状の菌をグラム陽性球菌といい、ブドウの房のように見えるためブドウ球菌と考えられます
細菌が白血球に貪食されており、この菌が感染症の原因菌と考えられます
培養同定検査
検査材料を寒天培地に塗り、35℃で培養し、肉眼で観察できるまで細菌を増殖させます。
その後、様々な方法を用いて細菌の種類を決定 (同定) します。この検査には数日間を要します。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
Klebsiella pneumoniae (肺炎桿菌)
抗菌薬感受性検査

培養同定検査で感染症の原因菌と推定される菌が検出されると、その菌に対してどの薬(抗菌薬)が効くか、を検査します。
同じ細菌であっても効く薬は様々であり、この検査を行うことで、より適切な治療を受けることができます。

②抗酸菌検査

代表的な抗酸菌は「結核菌」です。
結核菌は空気感染するため迅速な検査が求められますが、発育が遅く、結果報告に数週間を要します。
当センターでは塗抹検査および結核菌の存在を数時間で検査することができるLAMP法 (遺伝子増幅法) を導入し、迅速な結果報告ができるよう努めています。

③迅速検査

インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの感染を簡易的な検査キットを用いて迅速に検査しています。
検査には鼻腔や咽頭ぬぐい液、尿、便を材料とします。

・インフルエンザウイルス(咽頭、鼻腔)
・RSウイルス(鼻腔)
・アデノウイルス(咽頭、鼻腔、便)
・マイコプラズマ(咽頭)
・ノロウイルス(便)
・ロタウイルス(便)
・肺炎球菌(尿)
・レジオネラ(尿)

④感染管理

細菌検査室では、病院内で拡散してはいけない病原体 (各種の耐性菌や結核菌、インフルエンザウイルスなど )が、院内のどこの患者様から発生したのか、いち早く知ることができます。
その情報を迅速に感染対策チームと共有し院内感染を制御することや、万が一、院内感染が発生した場合には環境調査などを行い、感染源・感染経路を特定して、感染拡大を終息させることも大切な業務の一つです。


入院患者におけるMRSA(重要な耐性菌)検出患者数の推移