スタッフインタビュー
井上 正義 / 副部長(放射線科)
近年では、肺や腹部の小さな腫瘍に対して、放射線をピンポイントにあてる体幹部定位放射線治療が広く行われるようになり、手術に近い治療効果が得られるようになってきました。ただ、従来の治療装置では、呼吸や内臓の動きによって腫瘍の位置がずれてしまい、十分に狙って照射することが難しい場合がありました。
そこで当院では、2025年4月に新しい治療装置を導入しました。この装置では、体内に入れた小さな金属マーカーを常に追いかけることで、呼吸などによる腫瘍の動きを補正しながら治療ができます。そのため、これまで以上に精密に照射することが可能となり、しっかりと効果を保ちながら副作用を少なくすることができます。これにより、以前は治療が難しかった場所にある腫瘍にも対応できるケースが増えてきています。
当院では、高精度の放射線治療に加えて、「できるだけ早く治療を始められること」も大切にしています。特定の病気を除いては、わざわざ外来日をお待ちいただく必要はなく、ご希望があれば当日でも、できるだけ早く診察させていただくようにしています。
また、当科には緩和ケアに詳しい医師もおり、がんを治すための放射線治療だけでなく、痛みなどのつらい症状をやわらげる治療(緩和照射)も安心して受けていただけます。
高齢化が進むなかで、放射線治療を受けられる方は、今後ますます増えていくと考えられます。技術の進歩により、病気の状態や体力にあわせて、一人ひとりに合った治療を組み立てることが可能になっています。
放射線治療について不安や迷いをお持ちの方も、どうぞお気軽にご相談ください。
私たちは、患者様にとって最も安心できる治療法を一緒に考えてまいります。